カズ・カタヤマ氏による ステージ・サロンマジック入門講座の第5巻
今回は「ロープ入門・結び目編」と題しまして、ロープマジックの 基礎固めをしつつ、様々なテクニックや作品を学んでいきます。
このシリーズは毎回各巻ごとにテーマを決めてお届けしていますが そのテーマの立て方にもカタヤマ氏の工夫が現れています。
前回(第4巻)は「パーム編」として、いわゆる「素材(によるジャンル分け)」 ではない切り口でした。
その中で、マニピュレーション全般の基礎となる技法・技術を学びました。 今回は、その基礎技法(パーム)をも多少踏まえつつ、また話を「素材」的な 角度・視点に戻して進めています。
今回は「ロープ」がテーマであり、ロープマジックのテクニックやアイデア 作品を盛り沢山に詰め込んでおりますので、ロープマジックの世界に 多少なりとも興味がある方は、ぜひご覧いただきたい内容です。
カタヤマ氏も述べられていますが、ロープマジックは「粋(いき)な芸」。 華やかさはありませんが、まさに「いぶし銀」の魅力を持っています。 噛めば噛むほど味が出る、そんな、通(つう)好みのマジックと言えるかもしれません。
チョット脱線しますが・・・
一般論で言うと、マジックは、ある意味では入門者に優しい「芸」だという側面が あります。仕掛けがある「道具」が売っていたりして解説どおりに行えば 比較的すぐにできてしまうものも多くあります。
それを買ってきて2、3回試してから人前で見せるだけで 結構「大うけ」したりします。要は、たいした「芸」がなくても「タネの力」で ある程度ウケが取れるわけです。
これは、例えば「楽器の演奏」などの他の芸事と比べていただくと いかに楽かということが分かると思います。 これこそがまさにマジックの「魔力」であり、それはそれでマジックの 1つの「強み」でもあります。
「人前で見せる」ということの最初のハードルが、著しく低いのです。
最初は物珍しさから注目されても、同じレベルのことを続けていては すぐに飽きられてしまいます。 新しい「ネタ」を見せてもウケない…それはネタのせいではありません。
「道具」がウケているのではなく「あなた」がウケているのだ… 他の誰でもなく、ほかならぬ「あなた」が演じるからこそウケているのだ… そういうように、ステップアップしていかなければなりません.
やっている本人だけが楽しくって、見ている人は面白くない。 「大きな大人のお遊び」を見せられたところで、そこに調子を合わせてくれる 人は、限られています。
今回ご紹介するのは、そんな世界。その入り口です。
マジックにはもちろん華やかさも重要ではありますが、華やかであれば良い というものでもありません。
シンプルな形に集約することによってしか、見えてこない世界もあります。 小説ではなく俳句で表現するような世界。絞り込まれたものの方が 「芸」を感じやすいのです。
ロープマジックの基礎として「結び目」編、というのは「オヤ?」と 思われる方もいるかもしれませんが、ある意味ではこれが、ロープマジックの 1つの究極の形でもあるのです。
3本ロープでもなく、リンキングロープでもなく、たった1本のロープで。 ロープ切りマジックではハサミを使いますが、それすらも使わず 本当にロープ1本だけで見せる「芸」。
結び目の出現・消失・移動・増加… 一瞬で複数の結び目を作る、とか、しっかりと結んだはずが、なぜかほどけてしまう、など。 その中で、様々な「結び目技法」も学んでいきます。
巧妙なシークレットムーブもあれば、フラリッシュ的な「格好いい」テクニックまで。 ロープ1本で、こんなことができるのか、という感動を覚える内容です。 ぜひご覧くださいませ。
また、好評の「ステージマジック基礎講座」では、前回の「綺麗な立ち方」に続いて 「舞台での歩き方」を紹介しています。
ステージでは、登場する時のイメージが大変重要。
演者のの第一印象は歩き方で決まります。 もちろん、登場・退場だけでなく、ステージ内で移動する時にも必要です。 普通に歩けばよいわけではありません。 舞台ならではの所作がありますので、ぜひ、学んでください。
内容
*************************************************************** 第5巻:ロープ入門 結び目編 ***************************************************************
●ロープについて ■使用するロープについて マジックに適したロープの材質や太さ、色などについての説明。 ■ロープの端の処理・保管方法 端部の「ほつれ止め」加工法を2種類解説。また実践的な保管方法を紹介。 ■ロープの扱い方・結び方 ロープを扱う際における、演技上の基本的な注意点。結び方の基本所作。
●様々な結び方 ■瞬間結び1 ■瞬間結び2(ジョセフ・H・フライズ/カズ) ロープに一瞬で結び目を作る方法、2種。 その1はシルク入門でもご紹介した、両手を合わせてまた広げると中央に 結び目が現れている方法。 その2は、両手を合わせずに片手の操作で結び目を作るやりかたです。
■ワンハンド・ノット この動作、シルクでは有名ですが、ロープでも使えます。若干アレンジした方法です。
■ウイリアムテル・ノット ロープの輪の中に、端を「弓矢のように」射通して結び目を作る、見事なフラリッシュノット。
■ダブル・ノット1(C.D.オエロフ) ■ダブル・ノット2 ■ダブル・ノット3(カズ) 一つの動作で2つの結び目が同時にできる…普段見ることはないので、とても奇妙に見えます。 原理・方法の異なるやり方をいろいろと紹介。
■ヒンズー・ノット ロープを手に巻きつけてから外すだけで、たくさんの結び目が一気に作られます。 さらに、作られた結び目を一気に解いてみせる方法も紹介。
●解ける結び目 ■ノット・ノット(Tony Lopilato) 解ける結び目の作り方としては比較的有名ですが、便利な方法です。
■消える蝶結び1(G,W,ハンター) ■消える蝶結び2(ジェラルド・ロー) いわゆる「ハンター・ノット」。 超結びにさらに紐を通すと、絡んで解けなくなる…ように見えますが!? 「蝶を捕まえる」「靴紐が解けなくなる」などの演出にものせやすい動き。 その2のほうは何度も絡ませる方法で、到底解けるとは思えないのがミソ。
■二重の結び目(シェファロー) いわゆる「シェファローの結び目」の基本を詳しく解説。 「本結び」にさらに端を絡ませていく、と見せて、実際には解除してしまう原理。 本当に絡まって解けないように見える、優秀な方法です。
■フォールス・ノット 引くと解ける結び目(スリップノット)。 これを普通に結んだのと外見上変わらないように、目の前で結んで作ります。 結び目のマジックでは最も基本となる技法の1つといえます。
●結び目に関するマジック ■結び玉と輪の作り方 ロープからスライドして外れる「ニセの結び目」と、直径10センチほどのロープの輪。 以後の手順で使用するこれらの作り方を解説しています。
■取れる結び目1 ■取れる結び目2 ■取れる結び目3 ■取れる結び目4 ロープに作った結び目が取れてしまう現象。 固く結んだ結び目が「結び玉」として取れたり、ゆるく結んだ結び目が「輪」として取れたり。 方法原理の異なるやりかたを複数紹介します。
■フリップ・ノット 振るだけでロープの端部に結び目が現れます。 それを解きますが、再び現れます。 やさしく行えて効果的なトリック・スタントです。
■三つの結び目(クリストファー) 一瞬にして3つの結び目が現れ、そのうちの1つが移動して取れてしまいます。
■飛び移る結び目(クリストファー) 結び目の移動現象ですが、全身で表現する大きな見せ方で、舞台ばえする作品です。
■移動する結び目1(テイテルバウム) ■移動する結び目2(サルバノ/カズ) 結び目が観客の目の前で移動する現象。 不思議さも十分ですが、意外性と見た目の面白さから笑いが起こる楽しい作品です。 その2では、何の準備もなく行えるテクニカルな方法を紹介。 片手で密かに結び目を作ってしまう「ワンハンド・フォールスノット」の解説を含みます。
■結び目がいっぱい(カズ) あれよあれよという間に結び目が増えていくオリジナルルーティン。 結び目をテーマにしたマジックのクライマックスに最適です。
━…━…━…━…━…━…━…━… ■【ステージマジック基礎講座5】 舞台での歩き方
好評の連続企画、基礎講座のコーナーです。 前回の「立ち方」に続いて、今回は「歩き方」。 皆さんは普段、自分の歩き方を意識したことはありますか?
舞台に立つということは、日常とは違う世界に足を踏み入れること。 「歩き方」レベルの日常動作でも、舞台の上ではルールがあり、基本があるのです。 人に見られることを前提にした美しい歩き方を学びましょう。
「用具は小さく、演技は大きく」 (英語ではPack Small, Play Big) というプロ使用の観点からも、実用的。コンパクトな用具で舞台をも制することが できる点ではレパートリーとして重宝するでしょう。
特に今回収録された内容は、ロープ切りなどと異なり、ロープを消耗しません。 一度用意したら、繰り返し使用できます。 (もちろん、カードは消耗品、と言うのと同じレベルでは、ロープも消耗品となります。 その辺りも、抜かりなく解説しております)
ロープマジックは、比較的至近距離でも演じることができますので これまでクロースアップマジックしか演じてこなかった方にも、比較的 入りやすい分野だと思います。
シンプルなだけに、演技力・表現力が求められる、奥深いロープマジックの世界。 現象きちんと観客に伝えるため見せ方、アピールの仕方、そして視線や 表情による表現、といった重要な点を学び取ることができる、貴重なレッスンです。
ぜひあなたも、この機会にご研究いただいて、演技の腕を磨いてください。
もちろん「ライナーノーツ」付きです。
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