カズ・カタヤマ氏による「ステージ・サロンマジック入門講座」第10巻このシリーズも、いよいよ終盤戦に突入。今回は「本格スライハンド シンブル編」です。ステージ・サロンマジックの「本格的な入門講座」をお届けしてきているわけですが、本格的なステージ・サロンマジックといえばやはりマニピュレーションであり、スライハンド。ステージ・サロンマジックを本格的に学ぼうと思ったら必要不可欠な、このジャンル。シリーズ終盤では各種マニピュレーションを順次じっくりと取り上げて、攻略していきます。まず今回は、「シンブル」。************************************************************ちなみに使用するシンブルですが、これはマジック用に販売されているものを使っています。当店でも、8本組のセットを扱っておりますのでよろしければ合わせてお買い求めください。*************************************************************さて、では、ご存じの方が多いとは思いますが、一応は基本の説明から。「シンブル」って何?という方も、中にはいらっしゃるでしょう。基本的には、指先にはめるキャップ状の用具です。人差指にはめて示し、これを反対の手に握り取って手を開くと消えている…そんな「一番の基本となる動作」は、たまに初心者向きのマジック解説本などにも出てきます。さらにそれが、分裂・増加したり、両手の間で移動したり、変色したり…様々な現象が起こり、片手に4本、親指以外の4指にすべてはまって現れたり、さらには両手で8本となったりする場合も。特に「指先にはめて示す」点が、この道具の最大かつ最も基本的な特徴です。「シンブル」は、例えば「学生マジック」の世界では「花形種目」の1つとなっています。人気があるのは、もちろん、それだけの理由があります。カッコいいんです。憧れなんです。マジックのクラブ・サークルで、先輩の流麗でカッコいい演技シンブル捌きを見て、シンブルが好きになった方、先輩が好きになった方いろいろいらっしゃると思います。…先輩のほうはともかく、シンブルは、マジックとして大変優れた素材でもあり、研究しがいのあるジャンルです。そもそも元をたどると、「シンブル」は「指ぬき」と言われる裁縫用の道具に由来するもので、英語では "thimble"。これは一般名称として、普通に「指ぬき」のことを指しています。縫い物で、針を刺す時に末端を下支えして、力を入れやすくします。また手を傷めないようにするための器具。ですから海外では、マジシャンが取り出してきた時に「それは何?」「シンブルだよ」で説明が足りてしまうのですが日本では別の説明を考えるなど、工夫した方が良い場合もあります。ただ、これは必須というわけではありません。「何であるか」が分かっている方が見ている側も安心(分かりやすい)という側面は当然あるものの、「何だかわからないけれど『指キャップのようなもの』を使って不思議なことを見せてくれた」という話で、マジックとして十分成立はしています。************************************************************今回もカタヤマ氏のことですから、シンブルを主眼に据えるにあたって、何をどこまで、どのように教えるか、相当に考え抜いた上で構成を考え撮影に臨まれました。結論から言いますと、独自の手順(流れ)を、新たに4手順用意されてきました。しかも、その4手順を繋いで演じると約5分以上の長い「ルーティーン」となる構成です。「シンブルだけで5分以上」というのは、考え方にもよるでしょうが、これは相当に「長い演目」です。もちろん、長く演じることが必ずしも良いとは限らず短い方が良い場合もありますが、個別の「4つの手順」はそれぞれ単独でも活用できるように作られていてショートバージョンで行きたい場合は、そのどれかを演じれば良いのです。そして最終的には、4手順を合体させた「ルーティーン」が演じられることを目指して欲しいのです。************************************************************1つの素材で時間を持たせようとすると、エフェクト的なバラエティも重要となりますが、その点は、カタヤマ氏の手順組みにお任せして良いでしょう。ですが、それ以上に重要なのは、演技力です。いかに観客を引き込み、面白く見せるか、ということ。ただ単に「手順を流している」だけでは、飽きられて当然とすら言えます。5分という時間を、シンブルだけで、観客を飽きさせずにショーを支えきれるか。観客の興味を繋ぎ止め続け、楽しませ続けられるか。これを行うには、演者・パフォーマーとしての技量・力が必要です。DVDに収録されているカタヤマ氏の演技をご覧いただければお分かりだと思いますが、当然ながら、氏は、それを難なくこなしています。「こなす」どころか、とても魅力的な演技で、引き込まれると思います。さすがプロマジシャン、底力を感じますが、これを「あなた」が演じる場合、その演技力までは、カタヤマ先生が代行してくれるわけではありません。先生の演技は「参考」にはなりますが、最終的には「あなた」の演技力が必要となります。***************************************************************今回、1つの特徴として、シンブルの手順には不可欠な「シンブルホルダー」に関して、極めて「具体的」な解説をしています。正確に言いますと、「テーブルに付けるホルダー」「身体に付けるホルダー」2種類のホルダーに関して、カタヤマ氏自らが工夫を凝らしてオリジナルの形式と、その「工作法」を考案・開発。身近な素材を使って安価にできる、出来栄えもしっかりしていて安定して使えるなど実用的な「方式」「作り方」を詳細に解説しています。シンブルを解説した資料DVDなど、過去にいろいろ出てはいますが、ここまで詳しくホルダーの作り方を説明したケースは初めてでまさに前代未聞・空前絶後の内容と言えます。とても重要なものなのに、「こんな感じのものを工夫して作ってください」などと流されてしまう不親切な解説が多い中、カタヤマ氏がついに立ち上がったのです。たとえば「身体に付けるホルダー」は、従来ホルダー自体も台紙にゴムを「縫い付ける」など面倒な形が多かったのですが、今回解説された作り方には縫い付け作業はありません。部品も使用済みのトランプなどを使って作りながらそれでいてしっかりしていて使いやすく見栄えも良い素晴らしいホルダーができ上がります。工作過程は、パッと見には複雑そうに見えるかもしれませんが実際に試してみると、大した面倒はありません。本当に、ちょっとした工作です。作り方を詳しく、映像でご紹介しておりますのでぜひ、実際に道具や材料を用意して作ってみてください。「テーブルに付けるホルダー」も、予想外のものを有効活用されていました。面白いですよ。*****************************************************************今回ももちろんライナーノーツ付きです。補足情報などもたっぷりと詰まっていて、映像と補完し合う内容となっています。目次代わりのガイドにもなると思います。DVDをご覧になる際に、ぜひお供としてご活用ください。DVDの方では、シリーズ企画、「ステージマジック基礎講座」のコーナーが大好評。今回は、くしくも「ルーティーンの組み方」を取り上げています。ルーティーンと言うと、広い意味では、いくつかのマジックを続けて演じる場合の構成、ショーのプログラムを指す場合もありますが、今回は、狭い意味のルーティーン、つまり、「作品レベル」のルーティーンについて説明しています。個別の技法やトリック要素を組み合わせて、一つのマジックを構成する。それがこの意味のルーティーンです。個別作品の「中」の構成、ということですね。(どこまでが1つの「作品」か、という点では、多少議論の余地がありますが)今回のシンブルのように、あるいは連続的に現象を見せるコインマジックなどもそうですが、基本的にマニピュレーション的なマジックは、技法の組み合わせでユニットを組んで流れを作っていきます。それゆえ、このルーティーンの概念・考え方が重要となってきます。今回も、アシスタントの眠都(ミント)さんとともに楽しく学んでいきましょう。*************************************************************第10巻:本格スライハンド シンブル編*************************************************************■シンブルマジックについて はじめに、基本情報やシンブルマジックの特徴・特性などについて簡単に。●ステップ1 基本技法この段では、最もベーシックとなるテクニックを中心に解説しそれを使って演じられる手順を学びます。本式のシンブルを使わなくても、手軽に演じられる手順でもあります。■シンブルのパーム(サムパーム・フィンガーホールド・フィンガーパーム・その他のパーム)■基本の消失・出現1■基本の消失・出現2■両手のあらため【練習手順1】1本シンブルの手順 1本シンブルの扱いに、効果的なエンディングを付加。●ステップ2 基本技法の応用この段では、ステップ1の技法を応用的に使うバリエーションや発展形を学びます。 手順としては、ハンカチを効果的に使用した流れとなります。■リテンション効果の消失法■親指でのパス■ハンカチの中での消失・出現■ハンカチを貫通するシンブル【練習手順2】ハンカチとシンブルの手順ハンカチとシンブルを絡め、貫通現象なども含めたユニークな手順。 最終的に片手4本が出現します(3本シンブルを分割するなどやや高度なテクニックが入ってきます)。●ステップ3 カラーシンブルこの段では、シンブルの変色現象をメインに扱います。カラフルで、ビジュアルです。■逆手での消失法■カラーチェンジ1■カラーチェンジ2【練習手順3】色変わりシンブルの手順 5色のシンブルを駆使したカラーチェンジルーティーン。シンブルを各指に移行させていくテクニックなども学びます。●ステップ4 複数シンブルの取り扱い この段では、いよいよシンブルマジックの白眉たる分裂・増加から移動現象の手順を学びます。■シンブルのエクスチェンジ■飛行するシンブル■4本の再出現【練習手順4】4本シンブルの手順 4本の同色シンブルを使った、練習手順としては最も本格的なルーティーンです。 捨てても現れるパートは、引っかかる人も多いはず。●ステップ5 ホルダーとその応用ホルダーと、それを使ったスチールなどの技法を学びます。これがないと、複数の手順を、うまく繋げて演じることはできません。■ホルダーについて■テーブルに付けるホルダー(材料・作り方・使い方)■身体に付けるホルダー(材料・作り方・使い方)【参考手順】ステージ用・シンブルの参考手順「4つの練習手順」を組み合わせ再構成して「5分の手順」を演じています。そのための変更点など、方法もきちんと解説しています。■補足さらなる学びのための情報紹介。━…━…━…━…━…━…━…━…■【ステージマジック基礎講座10】 ルーティーンの組み方ルーティーンを作る上での考え方を紹介しています。効果的なルーティーンのセオリーとは? 皆さんなりの手順を組むのに役立つでしょう。この講座で過去に解説した手順の例なども引いて、具体的に分かりやすく説明。今回も、重要な情報が楽しく学べます。お楽しみに。聞き手:眠都(ミント)
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