コントロールではなく、マネージメントすることの大切さ
「もしドラ」という本をご存知でしょうか? 正確なタイトルは 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」 というものです。
この「ドラッカー」とはピーター・ドラッカーのことで、「マネージメント」の父と言われる 経営学者です。 このドラッカーが日本で流行ったことから、日本でも「マネージメント」という言葉が 特にビジネス分野で広く使われるようになりました。
しかしながら、この「マネージメント」というものは、マジック分野でも使われることがあります。
オーディエンス・マネージメント ショーを十分に楽しんでもらうために、観客をマネージメントし マジックという大切な資産を、きちんと管理するのです。
著者であるゲイ・ユンバーグ氏は1952年スウェーデン、ハルムスタッド生まれ。 ルンド大学社会科学部卒業。大学卒業後、水泳のコーチとして活躍。
育成した選手全員は全国大会のファイナリストになり、国際大会や オリンピックに出場した選手も数多くいる。
1981年よりマジシャンとしての活動を初め、ファミリー向けのショーから 企業イベントまで手がけ、1985年からは世界中のマジック・コンベンションで 審査員を務め、2006年よりFISMのコンペティション・マネージャーも担当している。
現在自身で小さなアミューズメントパークを所有・経営している。 マジックショップも経営しており、今ではヨーロッパ最大級の規模を誇り オリジナルのマジック・グッズやレクチャー・ビデオなどを 数多くプロデュースしています。
UGMのコンベンションでは、いつもディーラーとして参加しているゲイさんなので 日本で演技を見ることはあまりありません。でも一たび演技を始めれば マジシャンも、ノンマジシャンも楽しめる演技を繰り広げ、その力量をいかんなく 発揮します。
20年以上のパフォーマーとしての歴を持ち、そこから導かれた様々な 事柄を、詳細にそして具体的に書き記してくれています。
第一章 はじめに 著者について タイトルについて 一体どういう目的でそのマジックを演じるのか 観客と直接コミュニケーションを図るために 本書の狙い
第二章 観客に焦点を合わせる ミッション・ステートメント 観客の視点で考える
第三章 ホモ・ルーデンス 人は遊ぶ存在である マジックに真剣に取り組もう まるで子供が遊ぶ時のように考えてみよう 自由に滑るスラロームのように遊んでみよう ゲーム要素を見つけよう 観客とのゲームを楽しもう
第四章 観客との約束――受け入れられるために マジシャンとはどのような存在であるべきか マジシャンに対する先入観や偏見について 良い観客と悪い観客
第五章 存在感――演者が醸し出す雰囲気 存在感と人間性の共有について 存在感こそ最も必要とされる素質である パーソナリティの二面性
第六章 ステージ恐怖症を克服する 緊張するということ 好循環を作り出す ステージ恐怖症を克服するための10の方法
第七章 人と人との絆を作り出す 褒めてもらうのではなく、共感してもらう 自分のことを気に入ってもらう 自ら実践してみよう ひそかに試してみよう 観客との関係を深める10の近道
第八章 ステージ・アシスタント なぜ観客に手伝ってもらうのか アシスタントの選び方 アシスタントを適切にコントロールする方法
第九章 クラウド・コントロール ショーの安全を確保する クラウド・コントロールを容易にする4つのポイント 音響と照明について ノン・オーディエンス 座席の配置
第十章 ショーを成功させるために ショーの組み立てを考える時 仕事の申し込みがあった時 会場に入った時 ショーの真っ最中 楽屋に戻った時 演技はより良く出来る
第十一章 ゲームを通して身につけよう 謝辞 あとがき
観客とともに、より魅力的なショーを作っていきたい人ははずせない一冊です。 |